top of page
yoshitanikazuhiro

第2回「台風が来たぞ!系ロック」

更新日:2022年9月20日

 台風が近づいて来た

 空は曇り風は強まる

 言い知れぬ不安感

 ついに雨が降って来た

 台風は一体どこに向かうのだろう?


 薄暗い部屋、ニュースと空を見比べる中、ピッタリ来る曲は一体なんだろう?


お浜「というわけで2回目は『台風が来たぞ!系ロック』です。ロックさんは何か思い当たる曲はありますか?」

ロック「そりゃもう次々と思い浮かびまんなって、おい!」

お浜「ノリツッコミですか(笑)何も思い当たらないんですね(笑)」

ロック「思い当たるわけないでっしゃろ。『台風が来たぞ!系ロック』の定義がよう分からんのに」

お浜「では、まずは具体的な例を紹介しましょう」

ロック「頼みまっさ」

お浜「『台風が来たぞ!系ロック』で一番に思い出すのが、フィッシュマンズの『weather report』ですね」

ロック「そのままでんがな」

お浜「そのままです(笑)

ロック「『weather report』で思い出すのは、7年前の9月の音泉魂でんな。初めてフィッシュマンズのライブ見たけど、ごっつかったわ。舞い踊る原田郁子は鬱陶しかったけど」

お浜「なんかあの人フワフワした感じで、雰囲気がちょっと違いますからね(笑)。UAだったら良いんですが」

ロック「3年前の音泉魂でフィッシュマンズ見た時は、原田郁子以外にもいろんな出演者がボーカル勤めとったな」

お浜「反省したんじゃないですか(笑)」

ロック「で、『台風が来たぞ!系ロック』の曲ってそれだけ?」

お浜「もちろん多岐に渡ります。紹介して行った方が定義が分かると思うんで、まずは紹介していきましょう」


1.cardboard pie/kikagaku moyo

2.the medium/トロ・イ・モア

3.dum surfer/king krule

4.thin thing/the smile

5.don`t go halfway/liam gallager

6.what`s the trick?/ジャック・ホワイト

7.south/wu-lu

8.the wheel/アイドルズ

9.eat men eat/black midi

10.釈迦/筋肉少女帯


1.cardboard pie/kikagaku moyo

お浜「幾何学模様は2012年東京で結成された5人組ですが、5人全員長髪で風貌からすでにサイケデリック全開です(笑)。メンバー中3人がアムステルダム在中の彼らは、日本より海外の知名度が高いみたいですね。今年5月に5作目となるフルアルバム「クモヲ島」を発表しましたが、この曲はその中からの1曲です」

ロック「これはいかにもライブ映えしそうな曲でんなぁ。今年のフジロックに出とったみたいやけど、雨そぼ降る夜のフィールドオブヘブンが思い浮かびまんなぁ。トリップ確実でんなぁ」

お浜「行ってないのに、まるで見て来たみたいですね(笑)。フジロックで見たら最高なのは間違いないです。それだけに活動を休止するのは残念です」

ロック「『台風が来たぞ!系ロック』って、こういうサイケデリックなロックなんでっか?」

お浜「まぁそうです。どこか不穏な感じがするロックですね。途中ゴリゴリのロックを経て、最終的にはプログレッシブ爆発といった流れになります」

ロック「それでオアシスの弟がおるんでっか」

お浜「そういうことです(笑)」


2.the medium/トロ・イ・モア

お浜「トロ・イ・モアは2010年にデビューしたアメリカのミュージシャンで、ジャンル的には『チルウェイヴ』とみなされることが多いみたいです

ロック「『チルウェイヴ』?なんでんねんそれ?」

お浜「ウキペディアによると『チープな打ち込みをバックにノスタルジックなメロディーを乗せ、アンビエントの要素をブレンドした強烈なレイドバック感のあるシンセポップを展開する』だそうです」

ロック「聞いたところでよう分かりまへんな」

お浜「確かに(笑)。この曲は今年4月に発売された9枚目のアルバム『mahal』」の冒頭を飾るナンバーです」

ロック「いきなり暴風が吹き荒れまんねんな。曲は少しサイケデリックでダナミックなロックでっけど、最後でも暴風が吹き荒れまんねんな」

お浜「まさに『台風が来たぞ!系ロック』のためにあるような曲です。本人はそんなつもりで創ったんじゃないでしょうけど(笑)」

ロック「他の曲もこんなんなん?」

お浜「『mahal』しか聴いたことないですけど、サイケデリックでドリーミーな曲で満ち溢れています。ビートルズ好きのロックさんに、是非お勧めします」


3.dum surfer/king krule

お浜「king kruleは、アデルやエイミー・ワインハウスや後に出て来るblack midiと同じロンドンの名門校ブリット・スクール出身で、現在28歳イングランドのミュージシャンです」

ロック「ブリット・スクールってなんでんねん?」

お浜「ブリット・スクールは、14歳から19歳までの有望な学生をイングランド各地から招き、ポップやロックといった大衆音楽のミュージシャン、ダンス、放送、アート、演劇、マーケティング、ITといった多岐に渡るメディア系分野で、プロとして活躍出来るような才能を養うための環境が整備されている学校です。全面的に国が資金援助をしているため学費は無料で、もちろん音楽スタジオも使い放題です」

ロック「そんなええ学校があるから、イングランドからはどんどんと若い才能が出て来るんでんな」

お浜「ですね。で、king kruleなんですが、2010年のデビュー以来4枚のアルバムを出しており、2021年の10月にはライブアルバムも出しています。この曲は2017年に発売されたフルアルバム「the ooz」からの1曲になります」

ロック「いかにも優秀なアートスクール出身てな感じの曲でんな。サイケデリックで不穏な空気な中に前向きな希望があるっちゅうんかな、『台風が来たぞ!系ロック』的に言えば、暴風の中に少し覗いた青空ってとこかな?」

お浜「すべて説明して下さりありがとうございます(笑)」


4.thin thing/the smile

お浜「the smileはレディオヘッドのトム・ヨークとジョニー・グリーンウッドが、サンズ・オブ・ケメットのトム・スキナーと結成した破格の新バンドです。6月にデビューアルバム『A Light For Attracting Attention』を発売しました」

ロック「この曲は、トム・ヨークとしか言いようがない曲でんな」

お浜「アルバム全編ロック×サイケデリック×プログレ×ジャズてな感じで、トム・ヨーク節全開です(笑)」

ロック「レディオヘッドと言えば、フジロック2012で見たんを思い出すな~。凄い人で身動き取れんかったけど、生涯ベスト10に入る物凄いライブやったわ」

お浜「身動き取れんと言いながら、どうせ踊り狂ってたんでしょ?(笑)」

ロック「そやな。なんせ三日間の締めくくりやったからな」

お浜「俺はレディオヘッドと聞いて、1995年の5月の近鉄特急を思い出しますね」

ロック「なんでんねん?それ?」

お浜「難波駅から名古屋駅まで近鉄特急で向かったんですが、指定席に行ったら3人の女子が向かい合って座ってたんです。近鉄は過酷にも、『その輪に入れ』と言う訳です」

ロック「よろしおまんがな。近鉄が若い男のために配慮してくれたんでっしゃろ」

お浜「そんな配慮いりません(笑)。見知らぬ女子3人の中に混じって名古屋までなんて状況、とてもじゃないですけど耐えられませんよ。女子にとっても『なんやこいつ?』みたいな感じでしょうし』

ロック「僕やったら仲良くするけどなぁ」

お浜「でしょうね(笑)。凍りついた俺は違う席に座って、駅に停車する度に『誰も乗って来るな!』って祈ってましたよ」

ロック「それとレディオヘッドに、何の関係がおまんねん?」

お浜「落ち着かない車中で聴いていたのが、買ったばかりのセカンドアルバム『ザ・ベンズ』だったんです」

ロック「そういうことでっか。『ザ・ベンズ』とはまた懐かしいでっけど、僕的には3枚目の『OK コンピューター』が好きでんな。あれは人生ベスト10に入る名盤やで」

お浜「異論ありません。あ――もう一つレディオヘッドで思い出したんですけど良いですか?」

ロック「なんでんねん?」

お浜「2001年の5月に、後輩の結婚式でバリ島に行ったんですけど、街中でボン・ジョヴィの『リビング・オン・プレイヤー』とレディオヘッドの『クリープ』がやたらと流れてたんです」

ロック「『ウパウパウパウパ』と『ジャカジャン、ジャカジャン』でっか?」

お浜「そうです(笑)。『ウパウパウパウパ』と『ジャカジャン、ジャカジャン』です(笑。」


5.don`t go halfway/liam gallager

お浜「ここでliam gallagerの登場です。説明するまでもなく、オアシスの弟の方です(笑)。この曲は今年5月に発売されたサードアルバム『カモン・ユー・ノ』から、マッドチェスターな1曲になります(笑)」

ロック「マッドチェスター!僕の青春そのものやないか!チルドレ~ン!♪アイノ~!♪ピョンピョンピョーポピョッポッポポポポ!♪」

お浜「よりによって、なんでEMFなんですか(笑)」

ロック「ゼアーズノーアザーウェイ♪ゼーズノーアザウェイ♪」

お浜「ブラーですか――止まりませんね、ほっときましょう。liam gallagerの新作はさすがロック大王という感じで何曲か良い曲が入っていますが、ビートルズ好きなのが如実に表れてますね」

ロック「ダーウンダーウンダーウンダーウンダラダンダーン♪」

お浜「ストーン・ローゼスですね。ところでオアシスは、1994年の2月デビューなんですが、俺的にはロックさんの青春、マッドチェスターの範疇にはないんです。俺的には、マッドチェスターは1993年で終わっています。ところが少し前に10円で買ったテレンス・トレント・ダービー1995年発売の『vibrator』を聴いて考えが変わりました。1、2、4曲目、特に4曲目がめっちゃマッドチェスターだったんです。R&Bの人にも関わらずです(笑)。今聴いたら1995年もマッドチェスターなのかもしれないと考えたわけです」

ロック「パオワパオワパオワパオワパオワ!♪」

お浜「マイ・ブラディ・ヴァレンタイン。なんか、曲当てクイズ大会みたいになって来ましたが、さっきの続きです。シャーラタンズの4枚目『ザ・シャーラタンズ』も1995年8月発売ですが、めっちゃマッドチェスターです。4曲目の『クラッシン・イン』みたいに『オアシスの物真似か?』という曲も存在しますが(笑)。ちなみにこの曲は、ブーラドリーズの歴史的名盤「giant steps」の10曲目にもそっくりです(笑)。ちなみに「giant steps」は1993年発売ですが、マッドチェスターというより、ただただ物凄いロックアルバムです」

ロック「ディシハウビサビロンリー♪」

お浜「最後はインスパイラル・カーペッツですか(笑)。マッドチェスターを代表する曲の数々ありがとうございました」


6.what`s the trick?/ジャック・ホワイト

お浜「ジャックホワイトは、言わずと知れたアメリカを代表するロックミュージシャンです。このアルバム今年4月に発売された『fear of the dawn』からの1曲になりますが、相変らずのカッコ良さです」

ロック「さすがでんな」

お浜「それだけですか?さっきと大違いじゃないですか(笑)」


7.south/wu-lu

お浜「wu-luはサウス・ロンドンを拠点とするマルチ・インストゥルメンタリスト兼プロデューサーで、今年7月にデビューアルバム「ロガーヘッド」を発売しました。ヒップホップ、ファンク、ジャズといった要素にロックのスパイスを振りかけたようなサウンド(ミュージックマガジンから抜粋)は極めて今日的と言えるでしょう」

ロック「この曲は、ベックの『Mellow Gold』とか初期の作品を思い出しまんな」

お浜「そうですね。wu-lu自身は、スリップノットやコーンといった90年代のグランジっぽいロックを聴いていたそうですが」

ロック「このwu-luって人は、後にベックみたいな大物になるんとちゃいまっか」

お浜「可能性はあると思います。問題は、使われている写真の顔がアホみたいなところですが(笑)」

ロック「ベックは男前でっからな。ベックは何回かライブに行ったけど、思い出すんは2001年のサマーソニックでんな。あの頃はまだ大阪の南港の駅の傍で開催されとって、そこら中の商業施設の地べたに座って休憩しとう若者がおったな」

お浜「フジロックに対抗して、都市型ロックフェスってのが売りでしたからね。都市過ぎるやろって話しですが(笑)」

ロック「1998年の第2回フジロックも東京の豊洲やったな。二日目の途中で全部の飲料が売り切れて、持っとった2ℓのペットボトルの水を外人に奪われて飲まれたんを思い出すわ。簡易トイレ横にあった手洗い所の水道水やったんやけどな」

お浜「外人も必死だったんでしょう(笑)。暑いし飲み物はないし過酷な状況でした。あの頃はまだ日本にフェスがなく、運営側も慣れてなかったんですね」

ロック「慣れてないんかやけくそやったんか知らんけど、物凄い音量やったな」

お浜「特にプロディジーが凄かったですね。音の壁に圧倒される感じで、今でも忘れられない体験です(笑)」


8.the wheel/アイドルズ

お浜「アイドルズは2017年デビューした5人組で、去年2021年11に4枚目のアルバム『Crawler』を発売しました。この曲はそこからの選曲になります。アイドルズと名乗ってますが、40代前半のゴツいおっさんばかりで、アイドルの欠片もありません(笑)」

ロック「見た目そのままのゴツいロックでんな。デイジー・チェインソーの「ラブ・ユー・マネー」を思い出しまんな!」

お浜「ヤバ――またロックさんの青春じゃないですか。確かに怒涛のように迫る感じは似てる気はしますが、あっちはもっとはっちゃけた感じで、アイドルズは地の底から迫り来る感じだと思いますが――」

ロック「ラブラブラブラブラブオヨーマネー!♪」

お浜「あかん。ロックさんはほっといて、もう少しアイドルズの解説です。アイドルズは新世代UKパンクの担い手として評判ですが、最新アルバム『Crawler』ではいろんな要素を取り入れ、非常に今日的なロックアルバムに仕上がっていると思います。個人的には次のblack midiと共に、現在のUKロックを代表するバンドだと思っています」


9.eat men eat/black midi

お浜「black midiは、2019年デビューした3人組です。メンバーが22歳か23歳で、英名門校ブリット・スクールで出会ったそうです。今年7月に3枚目のフルアルバム『ヘルファイア』を発売しましたが、この曲はそこからの1曲になります。聴いての通りめちゃめちゃプログレッシブで、怒涛の如く曲展開が変化します。とにかく凄いの一言です」

ロック「圧倒的でんな。ブリット・スクール恐るべしでんな」

お浜「中にはアーケイド・ファイアみたいなポップな曲もあって、将来は超大物になると思います」

ロック「アーケイド・ファイアと言えば2014年のフジロックでんな」

お浜「ロックさん、ほんとにフェス良く行ってますねぇ(笑)」

ロック「まぁアーケイド・ファイアには、特に思い出はないんやけど」

お浜「極端な人ですね(笑)」


10.釈迦/筋肉少女帯

お浜「筋肉少女帯ですが、去年11月に21作目のフルアルバム「君だけが憶えている映画」を発売しました。大トリはそこからの1曲『大江戸鉄炮100人隊隠密戦記』でも良かったんですが、『釈迦』の方がやっぱり良いんで『釈迦』にしました。1988年6月のメジャーデビューシングルなんで全然今じゃないですが、black midiに続こうと思ったらこの曲しかありません(笑)」

ロック「シャララシャカシャカ!」

お浜「どうやらこの曲も、ロックさんの青春のようです」

ロック「たまみ!たまみ!たまみ!たまみ!」

お浜「それは『マタンゴ』です(笑)。大トリは『マタンゴ』でも良かったですね(笑)」



閲覧数:10回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page