お浜「『アイ・ソー・ザ・ライト(邦題は瞳の中の愛)』は、1972年に発売された3枚目のアルバム『サムシング/エニシング? 』に収録されており、Billboard Hot 100の16位を記録しました。ラングレンがすべての楽器を演奏し、コーラスも自分で行っています」
ロック「11月の木枯らし吹く歩道を歩く恋人同志と、ニューヨークの古いマンションが思い浮かびまんな。イメージ的には70年代の恋愛映画の一場面でっかな」
お浜「やっぱり時代の空気を吸ってるというか、思い浮かぶのは70年代的イメージですね。今回はそんな雰囲気を持った曲を紹介していきたいと思います。それでは曲目です」
1.I Saw the Light/Todd Rundgren
2.グッデイ・グッバイ/KIRINJI
3.月のパレス/microstar
4.パープルブリッジを渡ったら/ウワノソラ
5.Light Of My Life/Ben Piarani
6.Amber/Steve Lay
7.ヱンド・オブ・ア・ホリデヰ / Lamp
8.ざくろ/北園みなみ
9.さよならはハート仕掛け/Kaede,Lamp,ウワノソラ
10.SWITCH/TENDRE
2.グッデイ・グッバイ/KIRINJI
お浜「キリンジは1996年に兄の堀込高樹と弟の堀込泰行の2人で結成されたユニットです。この『グッデイ・グッバイ』は2000年に発売された名盤『3』の冒頭を飾るナンバーです。キリンジは、2013年春弟の泰行がグループを脱退してソロアーティストとなり、兄の高樹がキリンジの暖簾を引き継ぎ、新たに5人のメンバーを加えて活動を継続しています。12月には大阪でタヒチ80と対バンでライブしますよ」
ロック「なんでタヒチ80と?ハー、ハー♪ハー、ハー♪『ハートビート』を一緒に歌いたかったんかいな?」
お浜「さすがに、一緒には歌わないんじゃないですか(笑)」
ロック「2000年南港で開催されたサマソニでタヒチ80観たけど、なかなか入場させてもらえんで、危うくハー、ハー言えんとこやったんや。前の日のJBは演奏途中で電源切られるしな、サマソニにはもう行かんとこって友達と話したん思い出すわ。結局あれ以来1回も行ってないわ」
お浜「フェス好きのロックさんにしては珍しいですね」
ロック「JBのライブの電源切るんだけは絶対許せんからな」
お浜「まぁ、ソウルの神様みたいな人ですからね」
ロック「話しは横道にそれたけど、キリンジのこの曲はまさにアイ・ソー・ザ・ライト系ソウルって感じでんな。もしかしたらキリンジはん、タヒチ80よりトッドラングレンと対バンしたかったんちゃいまっか」
お浜「そんなことはないでしょう。タヒチ80だって十分凄いバンドですから。今年3月に発売したニューアルバムにも良い曲ありましたし、11月には配信限定シングルでは、なんとはっぴいえんどの『風をあつめて』をカバーしてますよ」
ロック「なるほど、日本のシティポップが好きなんかもしれまへんな。音楽のテイスト的にはキリンジと似通った部分もあるしな」
3.月のパレス/microstar
お浜「マイクロスターについては、第9回で紹介してますからそちらをどうぞ」
ロック「この曲のイントロは『アイ・ソー・ザ・ライト』というより、まるでアル・クーパーの『ジョリー』でんな。全体的には明るいアイ・ソー・ザ・ライト系ソウルって感じでっけど」
お浜「『ジョリー』は大名曲ですから、『ジョリー』のイントロみたいな曲って多いんです。有名なところでは小沢健二の『ローラースケートパーク』のサビがもろ『ジョリー』のイントロのメロディーですね」
ロック「そのうち、『ジョリーのイントロ』っていうプレイリストやりそうでんな」
お浜「確かに(笑)」
4.パープルブリッジを渡ったら/ウワノソラ
お浜「いえもとめぐみ(31歳)と角谷博栄(33歳)が大阪の大学で出会い、2012年11月から活動している日本のバンドがウワノソラです。これまでに3枚のフルアルバムを発売し、ウワノソラ'67として別名義でも活動してます。この『パープルブリッジを渡ったら』は、2017年に発売されたセカンドアルバムに収録されています」
ロック「これも見事なアイ・ソー・ザ・ライト系ソウルでっけど、なんかシカゴの『サタデー・イン・ザ・パーク』を思い出しまんな」
お浜「さすが鋭い。『サタデー・イン・ザ・パーク』は1973年発売ですが、丁度『アイ・ソー・ザ・ライト』の弟になります」
ロック「弟ってなんでんねん?じゃあアルクーパーは、さしずめ従妹ってところでっか」
お浜「正解です。『ジョリー』の発売が1973年ですから、まさに時代の音なんでしょうね」
ロック「ええ時代でんな。今流行っとるドージャー・キャットとかリゾとかラトゥーとかハリー・スタイルズとは大違いでんな」
お浜「今のヒットチャートは80年代と直結するエレクトロまみれですからね」
5.Light Of My Life/Ben Piarani
お浜「ベン・ピラニはソウルリバイバルの流れを汲んだ新星で、2018年にファーストフルアルバム『How Do I Talk To My Brother?』を発売しました。一聴すると60~70年代の再発盤かと思わせる楽曲のアレンジは、マニアックなソウルレコードコレクターだったピラニにしか表現できないサウンドです」
ロック「確かにこれは『アイ・ソー・ザ・ライト』と同時期に発売されたとしか思えん曲でんな」
お浜「2016年に先立って発売された7シングルこの『Light Of My Life』は、現代の曲にも関わらず100ドル以上の高値で取引されていたそうですよ」
ロック「それも納得の名曲でんな」
6.Amber/Steve Lacy
お浜「スティーブ・レイシーはジ・インターネットのギタリストであり、プロデューサーとしてケンドリック・ラマ―、ソランジュ、ヴァンパイア・ウィークエンドなどの作品を手掛け、ルイ・ヴィトンのファッションショーでモデルを務めるなど、その類い稀な才能で多岐に渡る活躍を見せる24歳です。この『Amber』は今年7月に発売された『Gemini Rights』に収録されています」
ロック「これまた、70年代を思わせる味わい深い曲でんな。24歳でこの秋の夜長にしっくり来る哀愁を醸し出すとは、どえらい才能でんな」
お浜「アルバムからシングルカットされた『Bad Habit』は10月8日付の全米ビルボード・ザ・ホット100で1位にランクインもして大ヒットしていますよ」
ロック「え?ドージャー・キャットとかリゾとかラトゥーとかハリー・スタイルズを差し置いてかいな。全米ヒットチャートも、ごくまれにええ曲がヒットしまんな。ソウルリバイバルの波が全米ヒットチャートにも押し寄せて来てまんのか?」
お浜「今はまだ小波でしょう。ブルーノマーズとアンダーソン・パークのシルクソニックくらいの大物が、次々とソウルリバイバルな曲を出してくれれば大波が来るかもしれませんが」
7.ヱンド・オブ・ア・ホリデヰ / Lamp
お浜「ランプは、2000年永井祐介、榊原香保里、染谷大陽の3人で結成されたバンドです。2003年ファーストアルバム『そよ風アパートメント201』でデビューし、現在までに8枚のアルバムを発売していますが、この『ヱンド・オブ・ア・ホリデヰ』は2008年に発売された5枚目のアルバム『ランプ幻想』に収録されています」
ロック「幻想的というか、センチメンタルというか、ソウルフルというか、なんとも奥深いええ曲でんな」
お浜「ランプは名曲が多いですので、超お勧めです。俺的には毎年11月から12月にかけてのヘビーローテーションになってます」
8.ざくろ/北園みなみ
お浜「北園 みなみ(32歳)は長野県松本市出身の日本のミュージシャン、シンガーソングライター、作曲家、編曲家です。この『ざくろ』は2014年に発売されたデビューEP『promenade』に収録されています」
ロック「さっきのランプそっくりでんな。キリンジもきっと好きなんでっしゃろな。この曲は結構前の曲でっけど、最近の活動はどうなってまんの?」
お浜「2018年に黒澤鷹輔、佐藤望と共にOrangeadeというバンドを組み、ファーストフルアルバム『Broccoli Here』のリリースを機に名前を大沢建太郎に変更しました」
ロック「じゃあ、今はバンド活動してまんのか?」
お浜「いえ。2019年に、著しい素行不良を理由にバンドを解雇されてしまいました」
ロック「素行不良?しかも著しいって、相当悪いんでっしゃろな。曲だけ聴くとめっちゃええ人そうやのに」
お浜「ウキペディアにも、酒は飲める方だが、号泣、怪我、などをする頻度が増えてきたため、最初の一杯だけに留めることが多くなった。飲むときはワインを銘柄に拘り無く飲み続けるとわざわざ書いてますから、かなりロックンロール色の強い人間性なんじゃないでしょうか」
ロック「人は音楽だけじゃ分かりまへんな」
お浜「現在はMINAMI KITASONOに名前を変更して活動しています」
ロック「せっかくめっちゃ才能あんねんから、素行を正してアルバム出して欲しいでんな」
9.さよならはハート仕掛け/Kaede,Lamp,ウワノソラ
お浜「Kaede(31歳 )は日本の歌手で、女性アイドルグループ「Negicco」のメンバーです。2019年から正式なソロ活動を開始し、2020年にKaede&Lamp名義で『秋の惑星、ハートはナイトブルー』発売しました。このには『さよならはハート仕掛け』にはウワノソラも参加しています」
ロック「まさにこのプレイリストの集大成って感じでっけど、Kaedeはんも著しい素行不良でねぎっこクビになったんでっか?」
お浜「なってないです。北園みなみと違って、ウキペディアにはラジオ好きとか親子丼好きとか、平和な記述しかありませんから大丈夫です」
10.SWITCH/TENDRE
お浜「テンダーは、ベーシスト・ギタリスト・キーボーディスト・サクソフォニスト・マルチプレイヤー・歌手・プロデューサー、神奈川県出身の河原太朗(34歳)によるソロプロジェクトです。父はジャズベーシストの河原秀夫、母はジャズシンガーの河原厚子で、物心がついたときにはピアノに慣れ親しんでいたそうです。2017年EP『Red Focus』でデビューし、今年9月にはサードフルアルバム『PRISMATICS』を発売しましたがこの『SWITCH』もニューアルバムからの1曲になります」
ロック「絵に描いたようなサラブレットでっけど、さすがポップで軽快で心地ええ曲でんな。こういう曲がオリコンの上位を賑わすようになればええんでっけどな」
お浜「オリコンは全米ヒットチャートに比べても、全然ソウルリバイバルの波が来てませんからね。なんせ米津玄師が1位ですし」
ロック「さすがに米津玄師よりは、ハリースタイルズの方がええもんな。細野晴臣も好きみたいやし」
お浜「やはり影響を受けた音楽とか、どれだけ音楽が好きかというのは重要ですね。米津玄師が何に影響を受けたの皆目見当もつかないですが、トッド・ラングレンや細野晴臣では全然ないことだけは確かです」
ロック「銀座ジュエリーマキのコマーシャルちゃいまっか?なんかそんな音楽やん」
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